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角幡唯介「極夜行前」を読む。やっぱりこの作者のノンフィクションは面白い。

角幡唯介「極夜行前」を読む

「極夜行前」は「極夜行」の準備をする話

「極夜行前」の内容は、ものすごく大まかに説明すると、探検家・角幡唯介さんによる極夜(太陽が登らない期間)の北極探検をための”準備”について書かれたノンフィクションです。

極夜の北極探検で自分の位置を知るためのナビゲーション「天測」を学び、探検で行動をともにする犬を育て、必要な物資を探検のルート上にデポ(保管)するために北極の海をカヌーをこいでいく。

探険や冒険といった行為は、目的地に到達することが重要だ。たとえば登山だったら登頂できなかったら価値が認められにくいし、内容の凄さも伝わりにくい。

角幡唯介さんの探検がユニークなのは、そういうことに囚われていないところだと思う。彼の極夜の探険に地理的なわかりやすいゴールなんて設定されていない。そもそも、この「極夜行前」という本に関しては、探険の準備にスポットを当てているわけだから、成功うんぬん以前の話だ。

角幡唯介さんは、極夜行の本番で使うための物資を補給ポイントにデポ(保管)したとき、

この小屋に置かれた物資こそ 、五月に干し肉を作り始めて以降 、この三カ月間でおこなってきた活動の全成果だった 。

~中略~

つまり 、このデポは私のこの三カ月間の過去や生きた経験の蓄積なのだ 。

と述べている。ありきたりな言葉になってしまうけど、ぼくには著者が過程に重きをおいている、ように感じた。探険の準備という過程に、本番と同じくらい、もしかしたらそれ以上の価値を見出している。

なんだかそこに、現代人が抱えている病的なまでの結果至上主義へのアンチテーゼみたいなものを感じなくもなかった。

旅の準備は面白い。

旅は計画を立てているときが一番楽しい。そして、他人の旅の準備にも同じように興味深い。

例えばクライマーが岩壁に向かう前にギアをチェックしている様子、猟師が銃やナイフの手入れをしている様子なんかは、ものすごくそそられるモノがある。極夜行前という本は、そいういうタイプの好奇心をくすぐってくるのだ。

極夜の北極という特殊な環境なので、必要な道具や知識、技術も特殊なものだ。聞き慣れない名詞が多く出てくるので、そのたびにグーグルで画像を検索しながら読みすすめた。(写真付きならよかった)

極夜行前を先に読んだほうがいい(かも)

もしも、極夜行をまだ読んでないない人で極夜行前に興味を持っている人がいたら、先に極夜行前を読んだほうがいいと思う。

時系列的に極夜行前→極夜行という順番だからというのもあるけれど、極夜行前のラストに衝撃的な事実が発覚するわけだけど、極夜行でその後の顛末を読んでいると衝撃が薄れてしまうから。

それにしても、この「極夜行」と「極夜行前」というタイトルは同じ文章にいれるととてもややこしいなあ。