その存在は友人から聞いていたし、写真も見たことがある。 しかし実際に中洞の姿が見えてくると、それだけでワクワクしてくるような、妙に魅力のある場所だった。
それは思ったよりも長い距離を歩き、途中で大雨に降られ、ようやく辿り着いたからなのかもしれないけど。
到着後すぐ、入り口近くの民家に宿泊させてもらった。とにかく寒くて、早く着替えたかった。わかっていたが、案の定シャワーはなかった。
晩ご飯はトマトと卵の炒め物。これは中国ではポピュラーな料理だけど、お米の種類がもち米のような食感で、タイやラオスで食べられているカオニャオに近い。
そういえば、家族の中で普通話を話すのは父親だけ。子ども達やお母さんは、ニャムニャムとタイ語のような言葉を話していた。中洞で暮らしているのは苗族という少数民族。漢族とはだいぶ文化が違うようだ。
洞窟という場所の持つ雰囲気もあってか、生活感、というより現実感のない不思議な場所だった。洞窟内の5,6軒の民家には、その全てに人が住んでるわけではないようだ。中央にはバスケットコートがある。けれど、こちらも使われているようには見えない。家畜のニワトリが歩き回っているだけで、外に出ている人は誰もいない。
なんだか夢の中をさまよっているようだった。雨音だけが洞窟内に響き、外の景色は白く霞んでいた。
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