カナディアンロッキーのバム生活（車中泊）のはじまりと、おわり。

キャンモアに到着し、半年以上放置していた車のエンジンを、おそるおそるかける。バッテリーを外しておいたとはいえ、極寒のカナディアンロッキーの冬を越しているのだから、かなり不安。

「南無三っ！！」と、祈りながらキーをまわす。

一発始動。エンジン音や排気ガスの色に（多分）問題はみられず、ホッとひと安心。

2019年6月19日、この日からクライミングバム生活がスタートしました。

クライミングバムとは

クライミングバム（Climbing BUM）という言葉があります。

正確な意味はよく分かりませんが、この記事でいうクライミングバムとは、家に住まわず、車で寝泊まりしながらクライミングをすることや、その生活を指します。

夏のカナディアンロッキーでは、こんなバム生活をしている人が少なくない数あつまります。特にわたしの滞在するキャンモアという街では、駐車場の一画がバムの車で埋まってしまうような状態になるくらいです。

なぜクライミングバムをするのか？

バムをする理由は人それぞれだと思いますが、ひとつは金銭的な理由です。

キャンモアの街で部屋を借りようとすると、シェアハウスでも平均で７００ドル／月ほどかかります。（※プライベートルーム、キッチンやバス・トイレは共同）

東京でワンルームを借りる以上に家賃が高いので、「この金額を払うくらいなら車に住んで節約して山の道具を買いたい」という考え方のなるのでしょう。

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もうひとつは、単純に「クライミングバムがしたいから」という理由。

毎日のようにクライミングをして、野外でごはんをつくって食べ、疲れたらそのまま車でねむる。車一台に生活のすべてが集約され、土地に縛られることなく生きる。

ミニマルライフの究極というか、男のロマンというか。わたしの場合はこういった理由が大きかった気がします。（もちろん節約もしたかったけれど）

バム使用の車内のようす

わたしの車は、Chevrolet Equinoxという５シーターのコンパクトSUV。

正直なところ、クライミングバムをするには適していない車です。というのも、

• 車のサイズが小さいので収納力が低い
• シートを倒してもフラットにならないから寝心地が悪い

というのが主な理由です。

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車のサイズはどうしようもないとして、まず寝床をフラットにないことには快適に眠れません。上図のような状態をなんとかフラットにするため、工夫します。

右側の段差で低くなっている部分の底上げをするため、薄めの収納ケースを置きました。そして、隙間になっている部分には、適当な衣類などをしきつめます。

そして、ドライブシートと後部座席の隙間にダンボールを置いて穴埋め。これで大人ひとりが寝られるフラットなスペースができました。

この上にサーマレストのキャンプ用マットをおいて、スリーピングバッグをおいたらベッドの完成です。

狭くみえますが、足を伸ばして横になることができ、寝ながらノートパソコンを操作するくらいのスペースがあります。

天井の高さについては、正座をすると頭がぶつかるくらいです。着替えをするには少し狭く感じます。

こんな感じで寝ています。

バム（車中泊）で使っている寝具

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Sea to summitの３シーズン用スリーピングバッグ。の夏のカナディアンロッキーのバムでは必要十分な暖かさです。バックパッキングでえも使っています。（というかそのために買いました）　ただ、車中泊にはオーバースペックなので、封筒型の安い寝袋のが広くて快適だと思います。

THERM-A-REST サーマレスト プロライトプラス レギュラー マウンテンサンセット

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THERMARESTのセルフインフレータブルマット。こちらもテン泊用で買ったもの。同メーカーのZライトも持っていますが、こちらのが快適。重ねてもいいかもしれません。

バム生活の拠点について

調理場

ビジターインフォメーションセンターにあるピクニックテーブルで調理をしていました。

テーブルがあると調理が快適ですね。また、水道があるので水が補給でき、食器を洗うことができます。トイレもあるので便利な場所です。

ある日の夕食

シャワー、お風呂

エレベーションプレイスという公共ジムの月額会員になれば、約７５ドルで毎日シャワーが使えます。この施設はクライミングジム、ワークアウトジム、プール、ジャグジー、図書館、そして嬉しいフリーWi-Fiつき。

また、電源がとれる場所にソファがあり、休みながらスマホなどの充電もできます。

雨で外に行けない日は、ここでトレーニングをしてまったりと過ごします。

クライミングで疲れた身体を、ホットタブで癒します。

寝る場所

Save on foodsというスーパーマケットの駐車場に車を停めて寝ていました。速度は遅いですが、スーパーのWi-Fiがつながります。わたしは夜はすぐ寝るので使っていませんでしたが。

実は去年まで２４時間駐車可能だったクライミングバムのたまり場が、今夏から朝７〜９時まで駐車禁止になってしまいました。あまりに増えたバムに対するキャンモア市の対応です。

駐車することはできますが、常に停めておくことができなくなって快適性が落ちてしまったようです。

バム生活（車中泊）での充電について

USBだけでなく、AC電源になる大容量バッテリー。ノートPCも充電できるすぐれものです。車中泊にオススメのアイテム。

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上のモバイルバッテリーをチャージするために購入。エレベーションプレイスで充電もできるけれど、毎日外にクライミング行くと追いつかなくなるため。

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小さく折り畳めてるソーラー式のランタン。夜間、車内でなにかを探したいときに明るくします。

キャンプでも役に立つし、なによりデザインがGOOD。

バム生活のおわり

さて、ここまで色々とクライミングバムの説明をしましたが、実を言うとわたしのバム生活は６日ほどで終了しました。理由はシンプルです。

クライミングバム、しんどいっ・・・！！

記事冒頭では、男のロマンがどうこう書きましたが、ロマンを味わうよりも睡眠が快適にとれない不快さが上回りました。もう圧勝って感じで、バム最終日にはストレスからか身体に湿疹がでる始末。（※バム初日からずーっと雨続きだったのも不快指数を上げた要因かも）

東日本大震災の被災者の方でも、避難中に閉所のストレスで同じような症状がでたんだとか。もう身体がクライミングバムを拒否していると感じ、すぐに部屋を借りることにしました。

いやあ、ひと夏はバム生活しようと思っていたけど、一週間もたなかった。笑　わたしは思っていた以上にデリケートな神経の持ち主だったようです。そして、毎年バムをしている友人のタフさには尊敬しかありません。