この記事では、漫画「目玉焼きの黄身 いつつぶす」についての感想・レビューを書いています。
目玉焼きの黄身 いつつぶす? のあらすじ
付き合いだして間もない彼女と、初めての夜を過ごした翌朝、彼女が朝食をつくってくれた。
炊きたてのごはんと、お味噌汁、半熟の目玉焼き、付け合せにウインナーの焼いたやつと、ほうれん草がのっている。
ありきたりだけど、間違いなくおいしい。
こんな朝食を前にしたとき、あなたは(人は)、どうやって目玉焼きを食べるのか。
醤油をかけて食べる人、ソース派の人、塩だけの人、何もかけない人。半熟好きもいれば、完全に火が通っている黄身が好みの人もいる。付け合せと一緒い食べたい人や、それぞれ個別に味を楽しみたい人、黄身を食べるタイミングも十人十色です。
ちなみに僕は、箸で黄身の中心に小さな穴をあけ、そこに中濃ソースを流しこむ。ソースがうまく穴にはいったら、なんだかちょっとしあわせ。というスタイル。
このように人によって目玉焼きの食べ方には流儀があり、食事の楽しみにおいて、大きなウエイトをしめていると思います。
目玉焼きの黄身 いつつぶす? という漫画はつまるところ、食事における人それぞれのスタイルを紹介していく話。
バカバカしいけど本人にとってはけっこう重要だったりすることを、しっかりと丁寧に掘り下げ、その食事スタイルの合理的な理由や、どうしてそういう食べ方に至ったのかを、ギャグをまじえて描いています。
興味深いという意味でも、ゲラゲラ笑えるという意味でもおもしろい。控えめに言っても名作です。
さて、「目玉焼きの黄身いつつぶす」の主人公・田宮丸二郎の目玉焼きの食べ方ですが、
- 黄身をつぶす
- 黄身に醤油をかける
- 黄身と付け合せを白身でつつみ、口に運ぶ
- 口の中におかず残っているうちに、ごはんをかき込む
というもの。
ぼくはこの食べ方に共感するし、なんなら実際、こうやって食べることもあります。
一方で二郎の彼女・みふゆの食べ方はこう。
- 黄身に手を付けず、白身を先に食べる。
- 残った黄身を丸ごと口に運ぶ
理由は「黄身をつぶすとお皿が汚れるから」だという。
主人公・二郎はそれを聞くと、思わず言ってしまった。
「おまえ・・・、バカか?」
みふゆが出ていったあと、二郎は職場の先輩や友人との会話の中で、人にはそれぞれの食べ方があることを知る。
さらに、食堂にいる人を観察し、「人はどうやって目玉焼きを食べるのか、そこにどんな理由があるのか」を洞察していく。
果たして二郎は他人のスタイル(価値観)を理解できるのか、そしてみふゆと仲直りできるのか。
目玉焼き(以下略)の魅力は共感性
素晴らしい読書体験をしたとき「この本は自分のことを書いている」という錯覚をおこすことがあります。
「目玉焼きの黄身いつつぶす」を読んでいると、いつもこの感覚に襲われる。それはきっと、二郎をネタありきのキャラではなく、人間として描ききっているから。
二郎と同じ食べ方をしていなくても、二郎のように他人の食べ方が気になる人はきっと多い。実際、この本をすすめて読んでくれた友人のほとんどが、「わかる、うん、わかるわかる」と頷いていた。(特に男性陣)
実をいうと、このブログで「目玉焼き」を紹介するのは、より多くの友人とこの本について語り合いたいから。友人たちと、それぞれの食事のスタイルについて話してみたい。
この漫画は、読者にそう思わせる不思議な力を持っているのです。
第一巻では、「目玉焼きの黄身 いつつぶす?」の他に
- とんかつのキャベツ いつたべる?
- カレーのルー どうかける?
- ライス どうやって食べる?
- みかんの皮 どうやって剥く?
- 納豆 ご飯にいつかける?
- ちらし寿司にワサビ醤油かける?
っといった話があり、きっと誰にでも自分のスタイルがあって共感できる内容が載っています。
ちなみにグルメ系漫画にありがちな、読んでると食べたくなる衝動に必ず襲われます。特に夜中はヤバい。でも深夜に読みたくなる漫画。
魅力的なキャラクター・服部
食に関してはとにかく我が強く、すぐに周囲とトラブルを起こす二郎。しかし、そんな彼にも、よき理解者やアドバイスをくれる友人がいます。
服部はその一人で、二郎の親友。豪快で男らしい性格、一方でかわいい系グッズが好き。カードゲーム「ワードバスケット」の名手。という謎設定のキャラクター。個人的には一番好きな登場人物で、彼がでてくる話はどれもアタリです。
以下は服部の名言の数々。なぞの説得力がある。
目玉焼きの黄身 いつつぶす? は完結済み。気軽に読み始められます。
絵に特徴があるので、もしかしたら苦手な人もいるかもしれませんが、内容は間違いなく☆5つの良作。最終巻ではちょっとウルッときてしまいました。
全12巻(完結済)で、サクッと読めるけれど、何度も読み返したくなる本です。ギャグマンガなので気軽に読めるのもグッド。超おすすめなので、ぜひ読んでみてください。
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