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ロジャー|先住民デネ族としての矜持

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明くる日、また同じ場所に戻ってきた。

トラックに載りきらなかった胃や腸、皮、頭などを回収にきたのだ。

これらの部位は普通持って帰らないらしい。人間が食べる部位ではないからだ。先住民のなかでも持って帰るものはほとんどいないのだそう。

なぜロジャーは片道4時間もかけて食えない肉を回収するのか、それは彼が犬橇師だからだ。

間が食べなくても、犬は胃や腸を食べる。皮をあたえれば噛んで遊ぶので無駄吠えが減る。頭は脳を取り出して革なめしに使う。

正直、胃や腸を運ぶのは嫌な仕事だった。中には汚物が詰まっていて臭いし、蚊や蝿が大量にわいている。しかもバッファローの大きな胴の中身はほとんどは胃なのだ、とても重たい。

それでも。この大変な仕事をするのが先住民なんだ、と語るロジャーの目には、自身の生き方に対する強い誇りが見てとれる。

一方ぼくは、パタゴニアのジャケットが汚れないようにおそるおそる作業するのであった。だいぶ汚れたけど。

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